ピル(経口避妊薬)には、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが含まれています。

卵巣で作られる女性ホルモンとこれらの女性ホルモンは、ほぼ同じ構造をしているため、ピル(経口避妊薬)を服用すると、脳が「ホルモンが分泌されている」と勘違いし、「排卵しなさい」という指令を出さなくなるのです。つまり、妊娠の必要条件である排卵がなくなり、妊娠が成立しなくなります。とはいえ、排卵が止まるのは服用期間だけですから、服用を中止すれば、排卵は再開します。

ピル(経口避妊薬)を服用することについてのメリットは、高い確率での避妊以外に、「生理(月経)の周期が一定となる」「生理(月経)痛や貧血の改善、出血量の減少」「ホルモンバランスが整う」「子宮内膜症など、女性特有の疾患のリスクの減少」「子宮体がん、卵巣がん、子宮外妊娠の発症リスクの減少」などがあげられます。

一方、副作用としては、悪心や嘔吐、頭痛、不正性器出血などがあげられますが、健康な女性がピル(経口避妊薬)を服用する場合の安全性は高いとされています。しかしながら、ピル(経口避妊薬)は、長期間服用することが前提ですから、折りに触れて医師の診察や血液検査、子宮がん検診などの実施をお勧めします。

一般的に避妊を目的とするピル(経口避妊薬)は、低用量あるいは超低用量ピルが主流です。現在は、含有されているエチニルエストラジオールが50μg 未満を低用量ピル(低用量経口避妊薬)、50μg のものを中用量ピル(中用量経口避妊薬)、それを越えるものを高用量ピル(経口避妊薬)と定義しています。

監修

医療法人皓慈会 浅川産婦人科
理事長・院長 浅川恭行

経歴

1993年東邦大学 医学部卒業
1999年社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
2007年東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院)
2007年日本産婦人科医会 幹事
2009年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事
2017年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長