自分の身体は自分で守るために、低用量ピル(低用量経口避妊薬)服用のススメ

日本における低用量ピル(低用量経口避妊薬)の服用率は少しずつ、認知も上がり、使用する人も増えてはいるものの、欧米諸国にはまだまだ及びません。
その理由として考えらえるのは、保険適用外であること、毎日飲み続けるのが面倒、副作用が心配などがあげられます。

平成29年度の人口妊娠中絶件数は164,621件

厚生労働省の「平成 29年度衛生行政報告例の概況」によれば、平成 29 年度の人工妊娠中絶件数は 164,621 件で、前年度に比べ 3,394 件(2.0%)減少しています。人工妊娠中絶数が最も多かった昭和30年(1955年)は117万件を超えていたそうですから、大きく減少したことになります。もちろん人口(対象年齢の女性減)もその理由のひとつと考えられますが、少しずつですが、低用量ピル(低用量経口避妊薬)など避妊方法が定着してきたこともその一因と考えられるのではないでしょうか。


出典:「平成29年度衛生行政報告例の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/17/dl/gaikyo.pdf

日本人の避妊方法

とはいえ、日本人の場合、コンドーム、腟外射精、オギノ式、ピル(経口避妊薬)、IUD などの避妊方法のなかで、いまだに圧倒的にコンドームを利用するケースが多いことも事実です。一方、1999年に承認されて今年で20年になるピル(経口避妊薬)は、認知は広がっているとはいえ、保険適用外であること、毎日飲み続けるのが面倒、副作用が心配などの理由で、その服用率は数パーセント台を推移しています。

高い欧米諸国のピル(経口避妊薬)服用率

一方、2013年と少し古いデータですが、国連人口部の統計によると、フランスは41%、ドイツは37%、イギリスは28%、米国は16%と、欧米諸国のピルの内服率は、日本と比較してはるかに高いことがわかります。

自分の身体は自分で守るという意識が重要

女性の社会進出が当たり前になっているなか、男性が主体のコンドームが日本の避妊方法の主流であることに、違和感を感じている女性も増えてきているようです。まして確実な避妊方法としては程遠い膣外射精が、ピル(経口避妊薬)の服用率を大きく超えているのは、避妊という意味では日本がまだまだ後進国であることがわかります。ピル(経口避妊薬)は、女性主体の確実な避妊方法です。避妊に失敗すれば、中絶するか妊娠を継続するかという大きな決断を迫られますし、どちらを選択しても、心身ともに負担がかかるのは女性になります。まずは自分の身体は自分で守るという意識をもつことが一番大切ではないでしょうか。

監修

医療法人皓慈会 浅川産婦人科
理事長・院長 浅川恭行

経歴

1993年東邦大学 医学部卒業
1999年社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
2007年東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院)
2007年日本産婦人科医会 幹事
2009年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事
2017年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長