現代のプラセンタ療法の基礎は、1930年代の旧ソビエト連邦に遡ります。日本では1950年に創設された「メルスモン製薬株式会社」のプラセンタエキスの注射液は、厚生省(現厚生労働省)から医薬品としての認可を得て、更年期障害及び乳汁分泌不全の注射薬「メルスモン」として製造販売されるようになりました。

現在、プラセンタエキスは、注射液や内服薬、健康食品、サプリメント、化粧品として、美容・健康に活用されています。

プラセンタ 注射薬

現在、医療用医薬品として使われている胎盤製剤「メルスモン」は、特定生物由来製品であり、処方せん医薬品です。その「メルスモン」は、国内における感染のない健康な「ヒト胎盤」を原料とし、多種アミノ酸を含有していますが、ホルモン、たんぱく質は含有していません。また、酸で加水分解、121℃で30分間、最終滅菌するなど、感染症に対する安全対策を講じています。

主な効果・効能は、「更年期障害、乳汁分泌不完全」で、通常、1日1回2mlを毎日または1日おきに皮下注射します。治療にあたっては、安全を期して医師は患者への説明、記録の保存することが義務付けられています。

これまでに、細菌・ウイルスなどによる感染の報告もありません。とはいえ、理論的に未知のウイルス等の危険を完全に排除することは困難であることから、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤薬を使用した方の献血を制限しています。

プラセンタ 内服薬

最近は、注射が苦手な方や忙しくて定期的にクリニックに通うのが難しい方も気軽に服用できる内服薬<PurePlacenta D.R.(ピュアプラセンタ D.R.)>が販売されています。この「ピュアプラセンタ D.R.」は、日本国内の安全なヒト胎盤由来の100%プラセンタを乾燥末にしたもので、各種サイトカイン(細胞増殖因子)を豊富に含んでいます。美白や保湿などの美肌、アンチエイジングはもちろん、健康全般においてさまざまな領域での効果が期待されます。また注射薬では行えない献血も内服の場合は可能となります。「ピュアプラセンタ D.R.」は医薬品のため、医師の処方せんが必要となります。しかし、ショッピングサイト上で販売されている「プラセンタ内服薬」の多くは「ブタ由来」のプラセンタであり、処方せんがなくても購入することができます。

プラセンタ 健康食品・サプリメント

ヒト由来のプラセンタは、「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」とされていますので、食品、サプリメントなどに使用することはできません。一般的に健康食品やサプリメントなどに使用されているプラセンタの多くは、ブタもしくはウマ由来のプラセンタエキスです。実際にどちらが優位かという根拠、文献は現状では存在していませんので、これらを購入する際は、日本健康・栄養食品協会(JHFA)による「プラセンタエキス」および「プラセンタエキス純末」の品質規格基準(※)を目安にすることをおすすめします。

※ http://www.jhnfa.org/topic160-1.pdf を参照してください。

プラセンタ 化粧品

美肌の基となるたんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルといった5大栄養素が豊富に含まれているプラセンタは、美容領域でも利用されています。健康食品やサプリメントと同様、その原料はブタもしくはウマ由来のプラセンタエキスです。

監修

医療法人皓慈会 浅川産婦人科
理事長・院長 浅川恭行

経歴

1993年東邦大学 医学部卒業
1999年社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
2007年東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院)
2007年日本産婦人科医会 幹事
2009年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事
2017年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長