2019/05/30 更新
「プラセンタ注射をすると献血ができなくなると聞きました。ということは、安全じゃないってことなのではないですか?」。ある患者さんが青い顔をして診察室に飛び込んできました。
確かに、平成18(2006)年から、日本赤十字社は、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤を使用した方の献血を制限しています。その理由としては、献血の際に、牛の海綿状脳症(BSE)との関係が指摘されている「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」を血液から検査する方法が未だ実用化されていないことが挙げられます。
しかし日本において過去にプラセンタ注射剤による「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」感染事例は報告されていません。しかしながら、プラセンタ注射剤は、輸血や臓器移植と同じく、胎盤というヒト由来の臓器から製造されているため、「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」に感染するという理論的なリスクが否定できず、念のための措置として、献血が制限されているのであり、プラセンタ注射剤自体が安全ではないということではありません。
プラセンタ注射剤は、厚生労働省が認めた医薬品です。となれば、厳しい管理の下、厳しく選定された胎盤に対して、加熱・分離等の処理を繰り返されてようやく製品となるということです。プラセンタ注射剤は過去 40 年以上にわたって使用されていますが、いまだかつて問題が指摘されたことはないので、安心して良いといえるでしょう。
監修
医療法人皓慈会 浅川産婦人科理事長・院長 浅川恭行
経歴
1993年 | 東邦大学 医学部卒業 |
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1999年 | 社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 |
2007年 | 東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院) |
2007年 | 日本産婦人科医会 幹事 |
2009年 | 医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事 |
2017年 | 医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長 |