人工妊娠中絶手術は、妊娠満22週未満が可能になりますが、妊娠初期の12週未満と妊娠中期12週〜21週では、その方法や母体への負担、そして費用も大きく異なってきます。

妊娠初期の人工妊娠中絶手術について

妊娠4週頃(超音波診断で妊娠が確認できる時期)から妊娠12週未満(11週6日まで)までに、子宮口を拡張、静脈麻酔のうえ、器械的で子宮の内容物を除去する子宮内容除去術が行われます。病院によって、内容物をかき出す掻爬(そうは)法、あるいは器械で吸い出す吸引法のいずれかが用いられます。手術時間は、10分から15分で、多くの場合、痛みや出血も少ないといわれています。母体に問題がなければ、手術当日に帰宅することが可能です。

<パートナーの同意書の提出>必要です
<費用の目安>基本的には日帰り手術となり、10万円~15万円程度の費用がかかります。
<役所への届け出>不要です

妊娠中期の人工妊娠中絶手術について

妊娠12週から22週未満(21週6日)までに行います。
あらかじめ子宮口を開く処置を行なうのは、妊娠初期の人工妊娠中絶手術と同じですが、中期の人工妊娠中絶手術の場合、子宮収縮剤を用いて人工的に陣痛を誘発し、流産させる方法をとります。母体にそれなりのダメージがかかるので、基本的には数日間の入院が必要になります。

<パートナーの同意書の提出>必要です
<費用の目安>入院を伴うため、40~50万円以上かかります。
<役所への届け出>死産届けの提出が義務付けられています。また、役所に胎児の埋葬許可証を発行してもらいます。

人工妊娠中絶を受けるときに知っておいてほしいこと

妊娠初期、中期を問わず、人工妊娠中絶手術は、健康保険適用外となります。また、手術を行えるのは、母体保護法により指定された『指定医師』に限ります。最近は、『指定医師』を置かない産婦人科で人工妊娠中絶が行われたり、ネット上で安全確認ができていない妊娠中絶薬が販売されていたりという話を耳にすることがあります。産む・産まないは個人の自由であることは間違いありませんが、何より、大切なのはあなたの身体と心です。日頃から正しく避妊をし、自分を守ることが何より大切だと私は考えています。当院では避妊についての相談もお受けしていますので、まずは気軽にご相談ください。

監修

医療法人皓慈会 浅川産婦人科
理事長・院長 浅川恭行

経歴

1993年東邦大学 医学部卒業
1999年社団法人日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
2007年東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師(病院)
2007年日本産婦人科医会 幹事
2009年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事
2017年医療法人皓慈会 浅川産婦人科 理事長・院長